cherry軸の全てが
チェリー キーボード MXキースイッチ(Cherry keyboard MX Keyswitch)に解説されているので、新しいことは何もないが自分なりにまとめてみた。
 | 鉄板マウント型のcherry軸の外観 |
 | ①②スイッチは上ケースと下ケースが4本の爪でかみ合わせある。左右2本の爪を外側にちょっと広げて分離する。 ③スイッチは上ケース、下ケース(接点スイッチが組み込まれている)、軸、スプリングの4つの部品で出来ている。 ④茶軸の押下圧は45gだが、親指シフト入力するには少し重いのでスプリングを少しカットする。片端の密集部分+一巻半をカットすると押下圧が40gになった。 |
 | 茶軸と黒軸を比較 上ケースと下ケースは同じものに見える。 黒軸のスプリングは巻きが荒く短いが重い。 茶軸は赤丸部分に突起があり、これがタクタイル感を演出している。 茶軸のスプリングと黒軸を組み合わせるとスペックは赤軸になる。
新品のcherry軸が単品で購入できるので、あえて茶軸と黒軸の2個1は必要ないが、絶滅危惧主のALPS軸は入手できたものを色々組合せて好みの軸に仕上げるため、つい余計な事を考えてしまう。 |
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cherry軸の改造はこれが2台目。
1台目はジャンクで安価に入手したcherry茶軸で、壊れてもやむなしと試作したもの。
[親指シフト]親指シフトキーボードを造る(FILCO FKB91JP cherry茶軸+ALPS緑軸) 軸の植え替えがいらない分、簡単にできることが分かったので本命の改造を実施。
今回はSHOP'Uで新品を購入。届いたその日に封印シールを剥がして解体。保証外品となる。
メインの改造は
[親指シフト]親指シフトキーボードを造る。(FILCO ZERO Tenkeyless) その2 ALPSオレンジ軸換装と同じ。スペースバーを一文字サイズのキーに交換し、空いたスペースに[変換][無変換]用キーを増設。
押下圧45gは少し重いので、スプリングカットし35gに軽減。
リニアタッチのALPS緑軸を愛用しているが、cherry赤軸改はALPS軸とはまったくタッチが違っている。
それぞれに良さがあり、優劣を付ける気はない。が初体験のcherry赤軸改は素晴らしい!!
感覚的にはRboard Proの軽快さに似ている様に思える。
今回作成分は依頼品で嫁ぎ先が決まっている(仲人は諭吉さんと一葉さん)ので、自分用をもうひとつ造る予定。
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  | キートップを外した状態。スペース軸の両側にALPS緑軸を増設。ALPS軸を使っているのはcherry軸のパーツを持っていないから。深い意味はない。緑軸の底打ち音がcherry軸の底打ち音に合わないので、最終的には消音ゴム付白軸に変更した。 |
分解
 | まずは上筐体、本体、下筐体を分離。上下の筐体は3本のネジと上4箇所、下4箇所のツメでかみあわされている。 外したネジは無くさない様に上筐体のネジ穴に戻しておく。ツメの噛み合わせは上4箇所をマイナスドライバーで外し、上筐体を上下に揺すりながら下4箇所のツメを外す。 基盤の配線を見て、一瞬不安になる。今まで分解したキーボードとキーの数は同じ筈なのに線がやたらに細かく多い。 PCB基盤は英語用と共通化しているみたい。横長のENTERキー用の穴や配線があった。配線が細かいのはこれが原因だな。 |
増設軸穴加工
  | 軸取りは横一列ずつ6回に分けて、のんびりと実施。このキーボードの半田も粘性が弱く一回の吸いとりで綺麗に半田がとれた。 追加するキーサイズはFILCO Tenkeylessと同じ。鉄板に軸穴位置をケガキし、ヤスリで削り取る。スタビライザー取り付け穴と増設軸位置が重なって、横幅はぴったりの穴にできないので、縦幅をタイトに削って嵌め込める様にした。キー幅が短いのでスタビライザーは無し。 |
タッチ改善
    | 新品だが、押下時にカサカサ感があったので、軸にスムーズエイドを塗る。cherry軸は座りが悪く直立で置けないので、CDケースに3mmの穴をあけ台座を作った。これにスムーズエイドを塗った軸を並べて24時間自然乾燥させる。スムーズエイドは2度塗りが基本なので2日作業。 打鍵音改善のため、鉄板と基盤の隙間を埋めるセルスポンジに軸穴をあける。 底打ち感改善のため、鉄板裏側に0.5mmの鉛シートを貼る。 |
配線補修
  | <配線変更箇所> 1.増設軸スルーホールで分断された配線の修復 2.増設軸の配線(変換、無変換) 3.配線変更(元の無変換をTAB、スペースをEnter、Capsと左Ctrlの入替
配線が細かいので、間違いなくパターンを追えるか自信が無かったが、基盤をデジカメ写真にとり、拡大して作業したら案外楽にできた。 基盤を良く見ると、各軸ごとにRn、Cnの表記がある。これがマトリクスパターンを示していることが分かったので検証も確実にできた。 配線は1本繋ぐ毎にテスターで導通・漏電チェックして完了。 |
キーボードの相性でキー押下時のタッチが占める割合はかなり高いと感じているが、
押下圧(押下特性)を公表しているキーボードは少ない。
個別に測定されたデータが公表されているものもあるが、そもそもキーボードの押下圧の
測定基準がはっきりしない。
手元にあるキーボートの押下圧を古典的方法のコイン測定(硬貨を分銅代わりに利用した測定方法)で
量ってみた。
  | 親指シフトキーボードの理想の押下圧は35gと言われている。 これを基準にするため、35gの重りを作成。50円硬貨8枚+1円硬貨3枚。 測定基準は、キートップに重りを静かに置いたとき、底打ち手前までキーが沈み込む重さとした。 [参考]硬貨のサイズと重さ 1円 直径20mm、 重さ1g 5円 直径22mm、 重さ3.75g、孔径(穴の直径)5mm 10円 直径23.5mm、重さ4.5g 50円 直径21mm、 重さ4g、孔径4mm 100円 直径22.6mm、重さ4.8g 500円 直径26.5mm、重さ7g
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 | 35gの代表格、Rboard Proの押下圧を量ってみる。 35gの重りをキートップに乗せると底打ち手前まで沈み込む。指で押し下げても、指を話すと戻ってくる。 50gの重りで底打ちまで沈み込む。 |
 | ALPS緑軸はキーボードの部屋では平均41g、最大50gとなっている。 35gの重りを乗せると底打ち手前まで、沈み込み指で押しても戻ってくる。 43gの重りだと底打ち手前まで、沈み込み指で押すと底打ちしたまま戻って来ない。 |
 | Realforce変化重45gは45gの重りを乗せても底打ちしないが、そのまま指で押すと底打ちして戻ってこない。30gは30gの重りで底打ちする |
押下圧が同じでもキーボードによって打鍵感が違うのは、こんなところに要因があるのかも。
100均shopダイソーでアクリル絵具なるものを見つけた。水性だが乾くと耐水性になり重ね塗りができると書いてある。アクリルならプラスチックとの親和性も良さそうなので、これでJISカナを消してみた。
ついでに、ALPS軸で増設したキーにも塗ってみた。
元の状態はこちら
[親指シフト]親指シフトキーボードを造る(FILCO FKB91JP cherry茶軸+ALPS緑軸) 全体が黒で統一され、JISカナなしのすっきりした感じになった。
アクリル絵具は原液のまま、綿棒で薄く2度塗りする程度で白字がほぼ見えなくなる。速乾性なので重ね塗りもそんなに時間をかけないで出来た。
打鍵してもすぐに剥がれてしまうことはないが、どれくらいで剥げてくるのかの耐性は不明。しばらく使い込んでみるつもり。


